かゆみ、赤み、ヒリヒリの共通点(一般の方向け)


かゆみ 赤み ヒリヒリは、
なぜ繰り返し起きるのか


その背景には、従来とは異なる視点で整理できる「反応の連なり」があります。
本ページでは、最新の皮膚科学の知見をもとに、この仕組みをやさしく解説します。

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肌の解説を一般の方向けのやさしい解説で読むか、医療従事者向けの研究資料として読むかをお選びいただけます。

肌・一般の方解説

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かゆみや赤み、刺激感などの繰り返す肌変化を、感覚だけでなく仕組みからやさしく整理した一般向け解説ページです。日常のケアを見直したい方に向けて、肌環境を読み解く視点をわかりやすくまとめています。

本ページは皮膚科学の知見を踏まえ、酸化ストレスの視点から肌環境を整理した、宇野克明医師による解説総論です。特定の製品の効能を示すものではなく、疾患の診断や治療を目的とするものでもありません。分子レベルの枠組みで理解し、日常のケアを見直すことは、肌環境を考える上で重要なテーマになっています。

■  はじめに

しっかり保湿しているのに、カサつきを感じやすい。
季節の変わり目になると、いつも同じところが敏感になってしまう。
繰り返される、かゆみ、赤み、痛み、ヒリつき、刺激感


肌は、紫外線や大気汚染などの刺激を日々受けています。こうした刺激が重なると、年齢や生活環境の変化とともに肌のバランスは乱れやすくなり、その揺らぎが肌のさまざまな反応として表れます。


痛い、かゆい、ヒリヒリ…実は全部同じ仕組み?

(体の反応の新しい分け方)

解説(投稿) : 宇野克明医師

イチからわかる赤み・かゆみ・痛み・ヒリヒリの仕組み

病院では、痛みやかゆみ、咳など、現れている症状や臓器ごとに受診する科が分かれています。私たちも長い間、不調を「どこに出ているか」「どんな症状か」で分けて考えてきました。

けれど近年の研究では、一見まったく別の不調に見えるものでも、その奥では共通した反応の仕組みが関わっていることが分かってきました。こうした視点は、肌の赤みやかゆみだけでなく、アトピー性皮膚炎、花粉症、片頭痛など、一見異なる反応を背景から整理する際の研究上の視点にもつながっています。


その共通の反応を知るために、まず「三つのキーワード」をご紹介しましょう。

ROSとは

活性酸素種 Reactive Oxygen Species


私たちの体が日々つくり出している物質です。適量なら体を守る味方ですが、増えすぎると細胞を傷つける「火種」になります。

TRPA1/TRPV1

(TRPセンサー)

トリップ・エーワン / トリップ・ヴイワン


細胞の表面にある「警報装置」です。刺激や異変を感じ取ると、痛み・かゆみ・炎症のシグナルを発します。わさびのツーンとくる辛さを感じるのがTRPA1、唐辛子のヒリヒリする熱さを感じるのがTRPV1 ── 実は、これらと同じセンサーが肌の中でも働いています。

酸化ストレス

Oxidative Stress


体の中で「傷つける力」(活性酸素)「修復する力」(抗酸化)のバランスが崩れ、傷つける側に傾いた状態のことです。

■ すべての始まりは 「火種」と「スイッチ」

まずは、繰り返す肌あれの根っこにある仕組みからご説明します。

Step1

ステップ1   火種が生まれる

ストレス、アレルギー、花粉、化学物質、日焼け、かぶれ、体調変化、加齢など、さまざまな要因によって体の中にROSが過剰に生じることがあります。これが最初の「火種」です。

Step2

ステップ2   スイッチが入る

増えすぎたROSは、細胞の表面にあるTRPA1やTRPV1というセンサー(警報装置)を刺激します。この警報が鳴ると、細胞の中にカルシウムが流れ込み、神経や免疫の反応が一斉に動き出します。

Step3

ステップ3   反応が広がる

スイッチが入ると、神経からは痛みや過敏性に関わる物質(CGRP、サブスタンスPなど)が、免疫細胞からは炎症に関わる物質が放出されます。これが、赤み・かゆみ・ヒリヒリといった症状の正体です。

Step4

ステップ4   悪循環が始まる

放出された物質がさらなるROSを生み出し、火種 → スイッチON → 反応が広がる → 新たな火種…という悪循環が回り始めます。

ここが重要なポイントです。 この仕組みが体のどこで、どんな細胞で起きているかによって、現れる不調のかたちが変わるだけなのです。次は、この仕組みを基準に、体の反応を4つのグループに分けてみましょう。

体の反応の4つのグループ

グループA  
神経から痛み・かゆみ物質が出るグループ

神経の末端でスイッチが入り、血管を広げたり神経を過敏にしたりする物質が放出される反応のグループです。主な特徴は痛みや過敏性。片頭痛などを含む感覚過敏の研究領域でも、この仕組みとの関連が議論されています。

グループB  
管(チューブ)がギュッと縮むグループ
私たちの体には、気管支や腸、膀胱など、たくさんの管や袋があります。この壁にあるセンサーが反応すると、筋肉が縮んだり、分泌が増えたりします。気管支喘息や過敏性腸症候群などとの関連が研究されている領域です。

グループC  
細胞が暴走して組織が壊れるグループ

神経ではなく、免疫細胞などでスイッチが入りっぱなしになると、慢性的な炎症が起きて、組織の状態が少しずつ変化していくことがあります。アトピー性皮膚炎や花粉症などが、この仕組みとの関連で注目されています。

グループD  
研究で議論されるグループ
TRPA1/TRPV1を含む経路は、さまざまな反応の背景として研究対象になっています。まだ整理の途中にある領域も含まれるため、ここでは体の反応を読み解くための見取り図としてご紹介しています。

つまり、どういうこと?

こうして見ると、症状も起きている場所もまったく違うように見えるものが、「ROSという火種がTRPセンサーというスイッチを入れる」 という一つの連結で整理できることに気づきます。

肌の揺らぎだけでなく、アトピー性皮膚炎、花粉症、片頭痛といった反応を横断的に理解する視点として、この仕組みが研究上注目されているのはそのためです。

TRPA1/TRPV1と酸化ストレスへの着目

図は作用の考え方を示した概念図です。製品の効果効能を示すものではありません。

■ 肌の老化や変化はどこから始まるのか

シミや乾燥、肌の老化は、いつ、どこから、どのように始まるのか

肌への外的刺激(紫外線・摩擦・乾燥)が角層にダメージを与えるイメージ図

シミや乾燥といった変化は肌の表面で起きているように見えますが、実はその起点は細胞内部の変化にあります。肌の老化も、こうした内側の変化の積み重ねの中で進んでいきます。

私たちの細胞はエネルギーを作る過程で活性酸素を副次的に生み出します。これは生理的な現象であり、活性酸素自体は体を守る役割も担っています。大切なのは、活性酸素が増える力と、それを中和する力とのバランスです。

紫外線や生活環境の影響でこのバランスが崩れると、肌環境の安定性が損なわれやすくなり、肌の変化や老化につながりやすくなります。

■ 脂質の変化と乾燥の関係

肌の水分補給だけで本当に乾燥が防げるのか

バリア機能がガタガタに崩壊し、外部刺激が侵入しやすくなった肌表面の断面図
健康な肌と酸化した肌の比較図:脂質の酸化によりバリア機能が崩れ水分が蒸発する様子

肌のバリア機能である角層は、セラミドなどの脂質が整然と並ぶことで水分の蒸散を防いでいます。

酸化ストレスが高い状況では、この脂質が影響を受けやすくなります。脂質の状態が変化するとバリアの構造に影響が及び、水分が逃げ出しやすい環境につながります。

つまり、乾燥は単なる「水分不足」ではありません。バリアを担う脂質環境の変化 ── いわば「壁の材料」が劣化している状態として捉えることができます。だからこそ、水分を補うだけでなく、バリア環境そのものを整える視点が大切になるのです。

■ しかし、本当の問題は「酸化」そのものではない

酸化と還元のバランスが崩れると…

肌の深部で赤くモヤ状に広がる炎症反応と微弱な炎症のアイコン
細胞内部で活性酸素が発生し、火花のように酸化ストレスが生じている拡大図

ここで一つ、大切な視点をお伝えします。

酸化そのものが常に悪いわけではありません。活性酸素は、細菌を退治したり、細胞間の信号を伝えたりと、生体にとって必要な役割も担っています。重要なのは、酸化と還元のバランスです。

では、バランスが崩れたとき、実際に細胞を傷つけているのは何でしょうか。近年の研究では、ROSそのものよりも、ROSによって生じる「求電子性化合物」に注目が集まっています。求電子性化合物とは、「電子を奪おうとする不安定な物質」のことです。代表的なものに4-HNE(4-ヒドロキシノネナール)があります。

ROSが細胞膜の脂質を攻撃すると、この4-HNEが生まれます。そして4-HNEが、先ほどご紹介したTRPA1やTRPV1というセンサーを直接刺激して、痛みやかゆみ、炎症を引き起こすのです。

イメージとしては:
•ROS = 一瞬で消える「火花」
•4-HNE(求電子性化合物) = 火花が点けた「火事」


火花(ROS)を消す「抗酸化」だけでは、すでに燃え広がった火事(求電子性化合物)には対処できません。これが、従来の「抗酸化」アプローチだけでは肌トラブルが繰り返されやすかった理由の一つと考えられています。

■ 肌の変化を整理する

表面だけを補うケアの限界

ここまでの話をまとめると、乾燥、赤み、かゆみ、刺激感といった一見別々に見える変化も、酸化ストレス → 求電子性化合物の発生 → TRPセンサーの活性化 → 炎症の悪循環という共通の流れの中で捉え直すことができます。

肌の変化をその場の印象だけで切り分けるのではなく、この流れの中で整理してみると、なぜ同じような悩みが繰り返されやすいのかが見えてきます。
だからこそ、表面だけを補う発想にとどまらず、肌を取り巻く分子環境やバリア環境をどう整えていくか という視点が重要になります。

■  NEOAGING(ネオエイジング) 未来の肌を考える枠組み

肌の変化や老化を分子の視点で紐解く

刺激・酸化・炎症・バリア低下が繰り返される「酸化と炎症の悪循環」の全体構造図

従来のエイジングケアは、「酸化を防ぐ」(抗酸化)という発想が中心でした。しかし、ここまで見てきたように、肌の変化や不調の背景には、酸化そのものだけでなく、酸化によって生じる求電子性化合物がTRPセンサーを刺激するという、より深い仕組みが関わっています。

私たちは、この仕組みに着目し、「酸化を防ぐ」だけでなく「肌環境の分子バランスそのものを整える」という新しい視点を、NEOAGING(ネオエイジング) という枠組みで整理しています。

目に見える個別の症状に対処するのではなく、その根底にある肌環境を整えていく ── それがネオエイジングの考え方です。

この考え方を背景に、肌環境に着目したさまざまな検討が行われています。治療を目的としたものではなく、日常的なケアの一環として考えられているものです。

なお、本ページは特定の製品の使用を推奨するものではありません。

解説(投稿) : 宇野克明医師


■  Q&A

Q1 肌の酸化は肌にどう影響しますか

A1 酸化ストレスとは、活性酸素などの影響で体内のバランスが崩れた状態を指します。こうした状態が続くと、肌のバリア環境に影響が及び、乾燥や刺激感といったコンディションの低下につながると考えられています。さらに、酸化ストレスによって生じる求電子性化合物がTRPセンサーを刺激し、痛み・かゆみ・炎症の悪循環を引き起こす可能性も研究されています。

Q2 メトセラneoとはどのようなものですか

A2 メトセラneoは、酸化ストレスやバリア環境といった肌環境全体の視点に着目して設計されたスキンケア製品です。本ページでは、その背景にある考え方を一般向けに整理しています。製品の詳しい情報は、外部サイトでご覧いただけます。

Q3. 「求電子性化合物」とは何ですか?

A3. ROSが細胞膜の脂質を攻撃したときに生じる、不安定な物質の総称です。代表的なものに4-HNE(4-ヒドロキシノネナール)があります。これらは「電子を奪おうとする性質」を持ち、TRPセンサーを直接刺激することで、痛みやかゆみ、炎症反応を引き起こすと考えられています。ROSが「火花」なら、求電子性化合物は「火花が点けた火事」に例えることができます。

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